第47回研究会「人を輝かせるメイクの力」

2018年6月30日(土)

議題:「人を輝かせるメイクの力」
講演者:岡元美也子(株式会社資生堂 トップヘアメイクアップアーティスト)

会場:資生堂 汐留ビル(東京都港区)

岡元先生は、資生堂に入社後、メイクアップアーティストとして、TVCM・ポスターや雑誌撮影などをご担当、数多くのコレクションのメイクチーフも務められた。近年のプロデュース商品には「PLAYLIST(プレイリスト)」や「ドルチェ&ガッバーナ」のメイクアップ商品などがある。

2011年の東日本大震災後に開催された写真展「東北のミューズ(女神)たち」においては、被写体になった6人の被災女性にメイクをして、人の気持ちを前向きにするメイクの力を実感されたという。

この時の体験や、5年間のニューヨーク駐在時の経験をもとに、先生が提唱されているのが、トレンドを取り入れた「脱フルメイク」。1点に集中したミニマムなメイクで、その人の魅力を引き出すメソッドである。前半は、スライドを交えて「脱フルメイク」の実例をご紹介いただいた。

後半は、会場の参加者から4人のモデルを募ったメイクデモが行われた。このうち男性に対しては、眉マスカラなどを使って毛流れを上向きにすることで、顔全体をリフトアップした印象に。ファンデーションの厚塗りが気になると悩む若い女性には、ベースの整え方をアドバイス。少量でカバーできるコンシーラーを使って、目の下や小鼻・口角など肌の色ムラが気になる部分だけをカバーするミニマムな引き算メイクでナチュラル肌に。4人のメイク後の印象の変化を目の当たりにして、参加者からは感嘆の声が上がった。

この他、2018秋冬トレンドの紹介とともに、このところ注目されてきた赤リップや、ツヤ肌、太眉は終息傾向にある、などのコメントもいただいた。

近年、化粧品業界の売上げは、インバウンド効果もあり絶好調だが、人々のライフスタイルは、自分に本当に必要なものだけを選んで消費する傾向にある。メイクも然り。「脱フルメイク」の実践は、「しっかりメイクしなくちゃ」という従来のメイクの束縛から自分を解放することであり、今よりもっと楽なメイクで、いくつになっても輝いていたい女性たちの背中を後押ししてくれそうだ。また、「メイクして外に出て、他人に『きれいになったね』と言葉をかけてもらうことで、人はより輝く」と先生がおっしゃるように、メイクが人と人を結ぶコミュニケーションツールであることも、再認識することができた研究会だった。

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