第66回研究会「東映・刺青絵師 毛利清二氏に聞く『俳優に刺青(すみ)を描く(ながす)』とは」

登壇者:毛利清二(元東映株式会社・刺青絵師)、山本芳美(都留文科大学文学部教授)、木下千花(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)、原田麻衣(京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期)

日時:2024年3月10日(日)

会場:京都大学吉田南キャンパス総合人間学部棟1102

京都大学映画コロキアムとの共催となった今回の研究会では、東映京都撮影所で40年以上、鶴田浩二、高倉健、藤純子などのスターのほか、のべ2000名以上の俳優に刺青を描いてきた毛利清二氏を迎えてお話をうかがいました。世話人の山本芳美(都留文科大学教授)が聞き手、原田麻衣氏(京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程)が進行役をつとめました。

2024年4月で94歳になる毛利氏が80歳で引退以来、ほとんど表舞台に立っておられなかったこともあり、会員や京都大学、東映ほか業界関係者、映画・時代劇ファン、俳優、彫師、フリーライターなど、80名近い参加者が熱心に耳を傾けました。

羽織袴姿で現れた毛利氏は、大部屋俳優から刺青絵師になったきっかけより話をはじめられました。そして、『懲役太郎 まむしの兄弟』(中島貞夫監督、1971年)、『夜叉』(降旗康男監督、1985年)、「極道の妻たち」(五社英雄監督、1986年)などの映像クリップを交えながら、撮影の準備、監督・プロデューサーとの事前打ち合わせを経て、撮影当日の俳優に刺青を描く過程、撮影現場での立会い、本番直前に刺青を鮮やかに仕上げる秘訣、刺青化粧を落とすまでの長い一日を振り返りました。

コメンテーターの木下千花氏(京都大学教授)から、「刺青の図柄は誰に決定権があるのか」(毛利氏の回答は、「私。特に『遠山の金さん』では任されていました」)や「刺青をする場面の演出」などの質問がありました。毛利氏からは、『極道の妻たちⅡ』(圡橋亨監督、1987年)のオープニングなどで、針先を丸めた木綿針を使って彫師が彫る手元を撮影したとのエピソードが披露されました。会場で質問した一般参加者お二人には、毛利氏から新作の色紙が贈呈されるサプライズがありました。

この会は2024年5月1日(水)より7月28日(日)までおもちゃ映画ミュージアムで開催される「毛利清二の世界―映画とテレビドラマを彩る刺青展」のプレ・イベントでもありました。企画展でも研究会当日の映像を見ることができますので、ぜひ足をお運びください。

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