2019年3月11日(月)

議題:「化粧品の科学技術史」
講演者:南野美紀(株式会社ベルヴィーヌ 取締役副社長)

会場:大阪樟蔭女子大学 小坂キャンパス

南野先生は化学の研究者であると同時に、化粧品会社の経営者としても活躍されており、今回は洗顔料の歴史、乳化技術の発展、皮膚科学、メイクトレンドなど、技術史からマーケティングまで幅広い分野にわたるお話をうかがった。

現在、日本の化粧品市場は約二兆円規模といわれ、UVケアや美白、シワ対策など、日本女性の化粧品への期待感は高い。先生によると、化粧品に効果効能を求めるのは、日本をはじめアジアにみられる傾向で、欧米では医薬品に向かうそうである。

消費者の品質へのこだわりが厳しい日本の化粧品は、世界に誇れるレベルにある。IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)アワードを受賞した国別論文数は日本が最も多く、研究分野のすそ野も広い。

そもそも、日本における近代化粧品の歴史は、西洋文化が流入した明治時代からはじまった。技術は綿々とつながって、各時代のニーズに合わせたコンセプトの商品を生み出し続け、今に至っている。

平成の傾向として、機能性をうたった商品が目につくが、その理由として、新規でよい商品だとアピールするために、技術が重視されるようになったことが背景にあるという。新規有効成分の開発など「技術のエビデンスを持った製品」であることは、現代の化粧品において大きな訴求ポイントになっているのである。それは、効果効能をすぐに実感できる美容医療が身近になってきた現状を考えると納得できる。

一方で、既にある処方をPRを含めて新しい切り口で展開することにより、ヒット商品が生み出されるケースもある。日本で人気があるKコスメ(韓国コスメ)のBBクリームやクッションファンデがこれに該当する。新規成分開発に頼らずとも、工夫によってヒット商品が生まれる余地は、まだまだあるのである。

近年、中国などアジアの技術の進歩もめざましい。今後の課題は、日本ブランドの力をどう保ち続けるかがであり、そのために必要なのは、よりよい商品を生み出そうとする情熱と信念、そして後進の教育が大切だと締めくくられた。

化粧品が化学(科学)の産物であること、そして日本の化粧品がアジアなど他国の評価が高い理由を、わかりやすく紐解いていただいた研究会だった。