3月30日のシンポジウム『イレズミ・タトゥーと多文化共生-「温泉タトゥー問題」への取り組みを知る』のために英国から来日したマット・ロダー博士(美術史専攻・エセックス大学上級講師)の特別講演を開催いたします。講演は3月28日東京国立博物館平成館小講堂会場でおこなわれます。
この講演は、イギリスタトゥー史研究を専門とするマット・ロダー博士が2017年に監修したイギリスタトゥーの歴史を概観する展覧会「英国タトゥーの真実展(BRITISH TATTOO ART REVEALED)」を紹介する内容です。この展覧会は、2017年に英国の港町ファルマスにあるコーンウェル国立海事博物館で開催され、2019年3月からブリストル博物館に巡回し、英国のみならず国際的な注目を集めています。
「英国タトゥーの真実展(BRITISH TATTOO ART REVEALED)」イメージ写真
Matt Lodder(マット・ロダー)博士 近影
◆マット・ロダー博士プロフィール
エセックス大学・人文学群・哲学美術史学部およびアメリカン・スタディーズコース上級講師。2010年レディング大学大学院・芸術・人文・社会科学部・美術学科修了(博士)。
現在所属するエセックス大学では、デジタル技術や「ニュー・メディア」といった戦後の近現代芸術をふくむ19世紀から現代のヨーロッパ、アメリカ、日本の美術や視覚文化論の研究・教育に携わられています。
◆専門と業績、活動
マット・ロダー博士の専門は、17世紀から現代までの西洋のタトゥー文化や歴史にかんして、美術史・芸術学の立場でアプローチする研究です。とりわけ彼が着目する、1880年前後の英国でタトゥーショップが登場しタトゥーが一般に浸透した「タトゥーのプロ化/商業化」は、個性的な論点であるだけでなく、芸術の大衆化を考える上で非常に示唆的な議論だといえるでしょう。
その専門知識はまた、西洋のボディ・モディフィケーション(身体改造)—スプリット・タン、インプラント、そのほか多様な身体をめぐる試みを含む—の実践についての広大な歴史研究にまで及びます。同時に近年では、ポルノグラフィにおけるフェミニズムの議論への考察や、1970年代から80年代のサブカルチャーの文脈におけるクィア文化と法律の交錯についての論考も発表されています。
直近の活動として、ヴィクトリア&アルバート博物館、スコットランド国立博物館、ロンドン博物館などでの招待講演の他に、多くの有名な学術誌や新聞・雑誌への寄稿もされ、イギリス国内にとどまらないメディア出演もなさっており、第一線で活躍されているタトゥー研究者です。とりわけ彼がメインキュレーターとして関わった2017年3月よりイギリス西南部の港町ファルマスにあるコーンウェル国立海事博物館での展覧会「BRITISH TATTOO ART REVEALED(英国タトゥーの真実)」は、現在は3月から6月まで中西部のブリストル博物館に場を移し、2020年まで巡回する大きな成功をおさめました。また、その関連もあり、2018年の終わりから2019年の初めには、ヨーロッパ中で放映される主要な美術や美術館を扱う複数のテレビ番組にも出演されています。
マット・ロダー先生の「英国タトゥーの歴史」講座
日時:2019年3月28日(木) 14:00~16:00
会場:上野・東京国立博物館小講堂
定員:40名(入場無料・通訳付き)/事前に申込みが必要です
申込受付:こくちーず(https://kokucheese.com/event/index/558018/)
お問い合わせ先
実行委員長:山本芳美(都留文科大学教授)
または、公式Twitter(@OnsenTattoo)のダイレクトメッセージまでお願い申し上げます。