第57回研究会『非国民な女たち――戦時下のパーマとモンペ』読書会

2021年7月3日(土)

(ZOOMオンラインにて開催)

飯田未希先生をお迎えしての『非国民な女たち――戦時下のパーマとモンペ』読書会

化粧文化研究者ネットワークでは、第57回研究会として『非国民な女たち――戦時下のパーマとモンペ』の読書会をオンラインで開催しました。2021年7月3日午後2時から4時過ぎまで、総勢23名による熱のこもった感想や意見が交わされました。著者の飯田未希(立命館大学教授)先生からも、参加者の疑問に関して逐次コメントをいただきました。

この話題の本は、戦時下の服装といえばモンペと標準服、パーマ禁止という思い込みを覆すものです。多数派ではないものの、着心地よく活動的な洋装を求めた女性たちがいたこと。都会だけでなく地方の女性たちも手入れの簡単なパーマネントのために配給の木炭を持ち寄り、時に当局や電力会社にかけ合い「戦っていた」ことを掘り起こしています。

読書会では、世話人の山村博美さんが1945年までのパーマネント、化粧の技術史と排斥史を紹介しました。次いで都留文科大学院比較文化専攻修士1年の田广はるかさんが、モンペや標準服を推進しようとする当局と、服飾研究家たちや一般女性たちのせめぎあいを本に基づき発表しました。

意見交換では、書中で紹介された秋田の美容師が、中村圭美さん(神戸ファッション美術館)のご遠縁とのエピソード披露を皮切りに、広島被ばく女性の白いドレス、映画のファッションなどの話題が参加者から提供されました。美にこだわる心理にも関心が集まりました。一見細部に工夫を凝らして個性を出す傾向がもんぺにもあり、もんぺはおしゃれに華美になり、禁止するほど駆け込みで実行する女性が現れることに当局が手を焼く状況もあったそうです。

「平時と戦時の異なりは何か?」と飯田先生は会で提起されましたが、物言う人が何かと叩かれる現在、「非国民」のレッテルはまだ生きているとの読後感を強くしました。

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