化粧文化研究者ネットワーク
研究会開催通算50回記念講演会
化粧文化研究の未来を考える
2019年6月29日(土)
会場:資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK エスパーク)3F ホール
研究会の通算50回を記念し企画した本講演会、当日は100名を超える化粧文化に関心をもつ参加者にお越しいただき,とても賑やかな会となりました。
講演会では,はじめに基調講演として,ネットワーク代表の立教大学 北山晴一名誉教授が「ひとはなぜ化粧をするのか 化粧文化研究の広がり」についてお話くださり,基本的視座を全体で共有しました。
続いて,「化粧文化と化粧文化研究の現場から」として3名の先生方にご講演いただきました。
都留文科大学 山本芳美教授からは「変える・彩る 顔と身体」と題して,台湾でのフィールド(<現場>)ワークに基づく知見をご紹介いただきました。
特殊メイクアップアーティスト 江川悦子さまからは「美しく加齢メイクをつくる技術」と題して,その人らしさを残しつつ老いをつくる技術について<現場>での写真をもとにご説明いただきました。
資生堂グローバルイノベーションセンター 池田智子さまからは「お客様に寄り添うモノづくり」と題して,商品開発の<現場>での研究テーマ決定の仕方と,お客様のニーズ研究から開発された商品の実例をご紹介いただきました。
最後に,パネルディスカッション「生活のなかの化粧,生活を超える化粧」として,甲南女子大学 米澤泉教授をモデレーターとし,上記講演者3名の先生方に加えてビューティクリエーター 富川栄さま,関西大学 木戸彩恵准教授が加わる形で議論を行いました。
※モデレータ 米澤 泉(甲南女子大学教授 社会学)
富川 栄 (ビューティ―クリエーター)
木戸 彩恵(関西大学准教授 心理学)
パネルディスカッションでは,化粧行為の近年の動向や,化粧に関連するテクノロジーの普及による想像力の広がりが話題になりました。特に,近年ではボーダーレス,ジェンダーレスなどという言葉に表されるように,文化のボーダー(境界域)が曖昧になりつつあります。こうした社会的動向をうけて,人の身体表象のあり方が問い直されることも多くなってきました。ボーダーは,意味と意味が交渉しあい,個々人の価値観が多様化し,さらに問い直される<現場>です。こうした境界域における新たな身体表象について丁寧に向き合うことが化粧文化研究の未来を考えるためには不可欠だということに,議論を通して気づかされました。
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