201839(金)

議題:「美容整形への抵抗感はどこから来るか?」
講演者:松下戦具(大阪樟蔭女子大学 准教授)

会場:大阪樟蔭女子大学 小坂キャンパス

メスを使わない施術の拡大で、美容整形はだいぶ身近になってきた。とはいえ、友人や知人と美容整形の話をすることは滅多にない。情報や広告は爆発的に増えているのに、相変わらずスッキリしないのが美容整形だ。美容整形につきまとう否定的な感情や道徳的信念。松下戦具先生は、そうした抵抗感がどこから来るのかについて、大学生と大学院生へのアンケート調査(85)にもとづいて、発表してくださった。

研究会は、参加者が調査に用いられた質問紙に回答するところから始まった。松下先生がこのテーマに取り組むまでの経緯を面白く話してくださったこともあって、会場が一気に和む。ご報告では、20項目の質問が因子分析によりグループ化され、抵抗感と整形を「誰が受けるのか」ということを付き合わせた結果が示された。そして抵抗感は、外部由来(道徳規範など)と内部由来(不安・恐怖)に分けて考えることで、前者は誰でも一般的に見受けられるが、後者は自分が受けることを想起した時に意識されることが明らかになった。同時に、道徳規範の影響範囲は広いが個人の基準としては脆いという面や、他者の施術に道徳以外をあげる場合は自己投影している可能性も見えてきた。討議は、整形体験も含めて大いに盛り上がり、松下先生も、継続調査へのヒントをいくつも吸収されているようで、充実したものになったと思う。

従来、美容整形の研究は「なぜ、美容整形を受けるのか」という方向を向いていて、それと表裏一体にあるはずの「しない理由」が掘り下げられることはなかった。また「バレたら・・・」といった懸念がつきまとっているせいか、量的調査も不足している。松下先生の「美容整形をしない理由」に焦点を当てた実証研究は、視点を転換したユニークで貴重なものといえる。継続調査の分析にも大きな期待が寄せられた。